噛み合わせ・顎関節症治療
原因の分からない不調。それは「噛み合わせ」が原因かもしれません
このような症状はございませんか
顎に関する直接的な症状
- 「口を開けたり、食事をしたりすると、顎のあたりが痛む」
- 「口が開きにくく、以前のように大きく開けられない」
- 「顎を動かすと、カクカク、ジャリジャリと音がして気になる」
全身に現れる症状
- 「長年にわたって、原因不明の頭痛や肩こりに悩まされている」
- 「めまいや耳鳴りが、なかなか改善しない」
- 「十分に休んでも、なんとなく顎や顔の周りが疲れている」
一見すると歯とは直接関係がないように思える、こうした体の不調。
その根本的な原因が、実は、日々の「噛み合わせ」の、ほんのわずかなズレにあるのかもしれません。
私たち中西歯科では、お口の中の一本一本の歯だけを見るのではなく、顎の関節、顔や首の筋肉、そして、ひいては全身のバランスまでを考慮に入れた、包括的な視点からの噛み合わせ治療、そして顎関節症治療を行っております。
院長が専門的に学んできた「顎咬合学(がくこうごうがく)」の深い知見に基づき、症状の表面的な緩和ではなく、その根本原因にアプローチする治療を追求します。
もしあなたが、どこへ相談すれば良いか分からない不調を抱えているのなら、ぜひ一度、私たちにお話をお聞かせください。
なぜ「噛み合わせ」はこれほどまでに重要なのか
私たちは、毎日、無意識のうちに食事をし、会話をしています。
そのすべての活動の土台となっているのが、「噛み合わせ」です。
しかしその重要性は、普段あまり意識されることがありません。
噛み合わせ(咬合)とは

噛み合わせとは、単に上下の歯が接触することだけを指すのではありません。
正しくは、
- 歯(一つひとつの歯と、歯列全体の並び)
- 顎の関節(顎関節)
- 下顎を動かす筋肉(咀嚼筋)
この三つの要素が、互いに連携し、調和の取れた状態で機能している、その動的なバランス全体を「噛み合わせ(咬合)」と呼びます。
どれか一つでも不調和をきたすと、全体のバランスが崩れ、様々な問題を引き起こすきっかけとなるのです。
理想的な噛み合わせとは
理想的な噛み合わせとは、顎の関節や筋肉がリラックスした、自然な位置で、左右の奥歯が均等な力で、かつ同時に接触する状態です。
そしてそこから下顎を前後左右に動かした時に、特定の歯に過剰な負担がかかることなく、犬歯などがガイドとなって、スムーズに他の歯が離れていく。
このような機能的に無駄のない、調和の取れた状態が、理想の噛み合わせと言えます。
噛み合わせが全身に及ぼす影響
噛み合わせは、お口の中だけの問題に留まりません。
私たちの健康と生活の質に、深く関わっています。
- 食事を美味しく食べる力
しっかりと、そして効率よく食べ物を噛み砕く、咀嚼機能の根幹です - はっきりと話す力
明瞭な発音を支え、円滑なコミュニケーションを可能にします - 美しい顔立ちの維持
お顔の輪郭のバランスを保ち、若々しい印象を維持します - 全身のバランスを保つ力
噛みしめる力は、体の重心を安定させ、正しい姿勢を維持し、瞬間的な力を発揮するためにも重要な役割を担っています
このように正しい噛み合わせは、私たちが健康で、豊かな人生を送るための、非常に重要な基盤なのです。
噛み合わせの不調和が引き起こす様々なサイン
噛み合わせのバランスが崩れると、体は様々なサインを発します。
以下のような症状に、心当たりはありませんか。
お口の中に現れるサイン

- 特定の歯だけが、頻繁に欠けたり、すり減ったりする
- 治療した詰め物やかぶせ物が、何度も外れたり、壊れたりする
- 歯の根元が、くさび状にえぐれている(アブフラクション)
- 歯周病が、特定の歯の周りだけ、なぜか進行が早い
- 原因がはっきりしないのに、歯がしみる(知覚過敏)
これらの症状は、特定の歯に、噛み合わせによる過剰な力がかかっていることを示す、重要なサインです。
顎やその周りに現れるサイン(顎関節症)

噛み合わせの不調和が、顎の関節や筋肉に直接的な影響を及ぼすと、「顎関節症」と呼ばれる一連の症状が現れます。
- 顎の痛み(関節痛・筋肉痛)
口を開けたり、ものを噛んだりすると、耳の前あたりや、頬、こめかみが痛む - 関節の音(関節雑音)
口を開け閉めする際に、「カクン」「ポキッ」という音(クリック音)や、「ジャリジャリ」「ミシミシ」という音(クレピタス音)がする - 口が開きにくい(開口障害)
指が縦に2本入らないほど、口が大きく開けられない。あるいは、まっすぐに開かない
全身に現れるサイン

噛み合わせのズレは、頭の位置を微妙に変化させ、首や肩の筋肉にアンバランスな緊張をもたらします。
その結果、全身にまで影響が及ぶことがあります。
- 原因がはっきりとしない、慢性的な頭痛や首、肩のこり
- めまいや耳鳴り
- 目の奥の痛み
- 手足のしびれや、姿勢の歪み
もちろんこれらの全身症状の原因がすべて噛み合わせにあるわけではありません。
しかし他の医療機関で検査をしても原因が分からなかった不調が、噛み合わせの治療によって、改善に向かうケースも少なくないのです。
顎関節症について – その原因と当院の考え方
顎関節症は、現代人の多くが抱える、非常に身近な疾患です。
その症状は多岐にわたり、生活の質を大きく低下させることもあります。
顎関節症の正体
顎関節症とは、前述した「顎の痛み」「関節の音」「口が開きにくい」という三つの主症状を伴う、顎の関節と、その周辺の筋肉(咀嚼筋)に関わる、様々な病態の総称です。
かつては「噛み合わせの異常」だけが原因と考えられていましたが、近年の研究により、単一の原因ではなく、複数の要因が積み重なって、その人の許容量を超えた時に発症する「多因子疾患」であると理解されています。
顎関節症の主な要因
- 噛み合わせの異常
大きな要因の一つです - 精神的なストレス
不安や緊張は、無意識のうちに顔周りの筋肉をこわばらせ、歯ぎしりや食いしばりを誘発します - 生活習慣や癖(口腔習癖)
歯ぎしり、食いしばり、頬杖、うつぶせ寝、片側だけで噛む癖、猫背などの悪い姿勢 - 外傷
顔や顎を強く打った経験
当院の顎関節症治療における方針
当院では、顎関節症の治療にあたり、以下の点を重視しています。
1. 正確な診断と評価

まず患者様がどのような症状で、いつから、どんな時にお困りなのか、その背景にある生活習慣や、お仕事、ストレスの状況などを、問診で詳しくお伺いします。
その後、お口の中の診査で噛み合わせの状態を確認し、顎の動きの検査、顎周りの筋肉の触診、そしてレントゲン撮影などを行い、症状の根本原因を、多角的な視点から詳細に診断します。
2. ライフスタイルへの配慮と指導

顎関節症の改善には、患者様ご自身の生活習慣の見直しが、不可欠な場合があります。
私たちは、問診や診査から明らかになった、歯ぎしりや頬杖といった、症状を悪化させている可能性のある癖を、患者様ご自身に自覚していただきます。
そしてその癖を減らすための具体的な工夫や、筋肉の緊張を和らげるための簡単なマッサージなど、日常生活の中で取り組める改善策を、一緒に考えていきます。
3. 体への負担が少ない、可逆的な治療の優先
私たちは、いきなり歯を削ったり、外科的な処置を行ったりすることは、決してありません。
まずは症状を緩和させ、原因を取り除くための、体への負担が少なく、かつ、もし合わなくても元に戻すことができる「可逆的な治療」から始めることを、原則としています。
その代表的な治療法が、次にご説明する「スプリント療法」です。
当院の噛み合わせ・顎関節症治療の具体的な方法
精密な診査・診断の結果に基づき、患者様一人ひとりのお口の状態と、症状の原因に合わせて、これらの治療法を適切に組み合わせて、根本的な解決を目指します。
スプリント療法(マウスピース治療)

当院の噛み合わせ・顎関節症治療の中心となるのが、このスプリント療法です。
患者様専用の「オクルーザルスプリント」と呼ばれる、透明な樹脂でできたマウスピースを作製し、主に就寝中に装着していただきます。
スプリントがもたらす効果
顎の関節と筋肉のリラックス
スプリントを装着することで、上下の歯が直接当たらなくなり、顎の関節が、本来あるべき自然でリラックスした位置へと導かれます。
これにより顎関節にかかる過剰な負担が軽減され、同時に、異常に緊張していた咀嚼筋もリラックスさせることができます。
顎の関節と筋肉のリラックス
スプリントを装着することで、上下の歯が直接当たらなくなり、顎の関節が、本来あるべき自然でリラックスした位置へと導かれます。
これにより顎関節にかかる過剰な負担が軽減され、同時に、異常に緊張していた咀嚼筋もリラックスさせることができます。
噛み合わせの診断ツールとして
スプリントを一定期間使用していただくことで、症状がどのように変化するかを観察し、噛み合わせのズレの根本原因を、より正確に診断するための手がかりとすることもあります。
このスプリント療法は、多くの場合、症状の劇的な改善が見られる、非常に有効で安全な治療法です。
咬合調整
スプリント療法によって、顎の関節や筋肉が安定した状態になった後、お口全体のバランスをさらに整えるために、必要に応じて、歯をほんのわずかだけ、選択的に削って調整することがあります。
これは早期に接触してしまう部分や、下顎の動きを妨げている部分を、ミクロン単位で精密に調整する、非常に繊細な技術が求められる処置です。
補綴治療・矯正治療による根本的な改善
噛み合わせの不調和の原因が、すり減って低くなってしまった古いかぶせ物や、そもそも歯並びそのものにある場合には、より根本的な治療が必要となります。
高さの合わない修復物を、正しい噛み合わせの位置で新しく作り直したり、矯正治療によって歯を理想的な位置へと動かしたりすることで、お口全体の機能とバランスを、根本から再構築していきます。

全体的な口腔機能を考える
当院における噛み合わせ・顎関節症の治療は、単に痛みや不調を取り除くことだけをゴールとはしていません。
それは患者様のお口が本来持つべき機能、すなわち「食べる」「話す」「笑う」といった、生きる上で不可欠な営みを、高いレベルで、そして長期的に安定して行える状態を回復するための、包括的な歯科医療の、まさに入り口なのです。
当院で行う入れ歯治療、矯正治療、審美治療といった、すべての専門的な治療は、この「顎咬合学に基づいた、正しい噛み合わせ」という、揺るぎない考え方を基盤としています。
それぞれの治療が、バラバラに行われるのではなく、すべてが連携し、調和することで、お口全体の健康という、一つの大きな目標へと繋がっていきます。
噛み合わせを整えることは、顎の不調を改善するだけでなく、結果として、一本一本の歯にかかる負担を減らし、歯を破折や歯周病から守ることにも繋がります。
私たちは、お口全体の機能と健康を見据えた、長期的で安定した治療をお届けすることを通じて、患者様の生涯にわたる健康と、心からの笑顔に貢献できる、身近で頼れるパートナーでありたいと、心から願っています。