口臭治療
「自分の口の臭いが気になって仕方がない」
「人と話す時、相手に不快な思いをさせていないだろうか」
「歯磨きやマウスウォッシュを試しても根本的に改善しない」
口臭はご自身ではなかなか気づきにくく、また他人に相談するのもためらわれる、非常にデリケートなお悩みです。
その悩みの深さゆえに、人とのコミュニケーションに自信が持てなくなったり、日常生活の中で常に不安を感じてしまったりと、心に大きな負担をかけてしまうことも少なくありません。
まず知っていただきたいこと
まず知っていただきたいことは、口臭のお悩みは決して特別なことでも恥ずかしいことでもないということです。
そしてその原因のほとんどはお口の中にあり、適切な検査と治療によって改善することが可能であるという事実です。
私たち中西歯科では、プライバシーに配慮した環境で患者様のお悩みを真摯にお伺いします。
そして科学的な根拠に基づいた客観的な検査によって、口臭の根本原因を突き止め、その解決に向けて専門家として誠心誠意、皆様に寄り添うことをお約束いたします。
一人で悩み続ける日々から、自信に満ちた爽やかな息を取り戻すための一歩を踏み出してみませんか。
口臭の正体とその主な原因について
口臭を効果的に改善するためには、まずその正体と原因を正しく理解することが大切です。
口臭の主な原因物質「VSC(揮発性硫黄化合物)」
口臭の、あの独特の不快な臭いの主な原因は「揮発性硫黄化合物(VSC)」というガスです。
このガスは、お口の中にいる特定の細菌(特に歯周病菌などの嫌気性菌)が、お口の中に残ったタンパク質(食べカス、剥がれ落ちた粘膜、血液の成分など)を分解する際に産生されます。
VSCの主な種類
ガスの種類 | 臭いの特徴 |
硫化水素 | 卵が腐ったような臭い |
メチルメルカプタン | 野菜が腐ったような臭い |
ジメチルサルファイド | 生ゴミのような臭い |
これらのガスが混じり合ったものが、一般的に「口臭」として感知されるのです。
口臭の分類
口臭はその原因によっていくつかの種類に分類されます。
生理的口臭
朝起きた時(モーニングブレス)や、お腹が空いている時、緊張している時などに一時的に口臭が強くなることがあります。
これは、唾液の分泌量が減少し、お口の中の細菌が増殖するために起こる、誰にでもある自然な口臭です。
歯磨きや食事によって、唾液の分泌が促されると自然に弱まっていきます。
飲食物・嗜好品による口臭
ニンニクやニラ、ネギなどの香味野菜、アルコール、そしてタバコなど、臭いの強いものを摂取した後に起こる一時的な口臭です。
病的口臭
私たち歯科医院が治療の対象とするのが、この「病的口臭」です。
何らかの病気が原因となって発生する口臭で、その原因の約90%以上はお口の中に潜んでいると言われています。
病的口臭のお口の中に潜む原因
歯周病

病的口臭の、もっとも大きな原因です。
歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の中で増殖した歯周病菌は、歯ぐきの組織や血液を分解し、非常に強い臭いを放つVSC(特にメチルメルカプタン)を大量に産生します。
歯周病特有の、あの臭いの正体はこのガスによるものです。
舌苔(ぜったい)

舌の表面に付着した、白い苔のような汚れです。
これは、細菌や食べカス、剥がれ落ちた粘膜の細胞などが堆積したもので、口臭の大きな原因となります。
進行した虫歯

大きな虫歯の穴の中に、食べカスが詰まり、そこで腐敗することで不快な臭いを発生させます。
適合の悪い詰め物・かぶせ物

古い詰め物やかぶせ物に隙間や段差があると、そこに汚れが溜まり、細菌が繁殖して臭いの原因となります。
清掃不良の入れ歯

入れ歯のお手入れが不十分だと、表面に付着したプラーク(歯垢)やカンジダ菌などのカビが臭いを発生させます。
唾液の減少(ドライマウス)

唾液には、お口の中の汚れを洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりする「自浄作用」があります。
ストレスや薬の副作用、加齢などによって唾液の分泌が減ると、お口の中が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなり、口臭が強まります。
全身疾患が原因の場合

ごく稀に呼吸器系(気管支炎、肺がんなど)や、消化器系(胃炎、逆流性食道炎など)、あるいは糖尿病や肝臓の病気といった、全身の疾患が口臭の原因となることもあります。
科学的根拠に基づく当院の口臭治療アプローチ
口臭治療は、ただやみくもに歯を磨いたり、マウスウォッシュを使ったりするだけでは根本的な解決には至りません。
もっとも重要なのは「臭いの原因を、科学的根拠に基づいて正確に特定すること」です。
当院では、専門的な機器を用いた客観的な検査で、その原因を徹底的に突き止めます。
口臭を「見える化」する口臭測定器による検査
これまで、口臭はご本人や他者の主観でしか判断できませんでした。
しかし、当院では専門の「口臭測定器」を用いて、お口の中の臭いを客観的な数値として評価します。
この測定器は、口臭の主な原因物質であるVSC(揮発性硫黄化合物)の濃度を、高感度センサーで精密に測定することができます。
この検査によって分かること
- 口臭が、実際に病的口臭のレベルにあるのか、あるいは生理的な範囲内なのか
- もし口臭がある場合、その強さはどの程度なのか
- どのような成分のガスが、口臭の主な原因となっているのか
この数値に基づいて治療計画を立て、治療後の再検査で数値が改善しているかを確認することで、治療の効果を正確に判定することが可能になります。
根本原因を探るための各種精密検査

歯周病検査
歯周ポケットの深さの測定や、出血の有無などを一本一本の歯について丁寧に確認します。

レントゲン検査

口腔内カメラによる診査
撮影した画像は、患者様にもモニターでご覧いただき、ご自身の目でお口の中の状態をご確認いただきます。
これらの各種検査結果を総合的に分析することで、あなたの口臭の本当の原因を突き止めていきます。
診断結果に基づいた具体的な治療法
歯周病が原因の場合
歯科衛生士が、専門的な器具を用いて歯周病菌の温床となっている歯石やプラーク、バイオフィルムを徹底的に除去していきます。
使用する機器
・超音波スケーラー
超音波の力で、硬くこびりついた歯石を効率よく破壊・除去します
・エアフロー装置
水と微細なパウダー粒子を高圧で吹き付け、歯の表面のバイオフィルムや着色汚れを、歯を傷つけることなく効果的に除去します
口臭の原因菌の塊であるバイオフィルムを除去することは、口臭改善に絶大な効果を発揮します。
歯周病そのものを改善させることが、結果としてもっとも確実で効果的な口臭治療となるのです。
舌苔が原因の場合
しかし、硬い歯ブラシなどでゴシゴシと強く磨くと、舌の表面にある味を感じるためのデリケートな組織(味蕾)を傷つけてしまい、かえって口臭を悪化させることにもなりかねません。
当院では、歯科衛生士が「舌ブラシ」などの専用器具を用いた、優しく、かつ効果的な舌の清掃方法を丁寧に指導いたします。
虫歯や不適合な修復物が原因の場合
また、古い詰め物やかぶせ物に隙間や段差があり、そこに汚れが溜まっている場合は、それらを除去し、汚れが付きにくい適合の優れた精密な修復物に作り替えることで、臭いの発生源を断ち切ります。
唾液の減少(ドライマウス)が原因の場合
全身疾患が疑われる場合

爽やかな息をこの先もずっと維持していくために
治療によって口臭が改善しても、その後のケアを怠れば、再び原因菌が繁殖し、口臭は再発してしまいます。
治療の完了は、爽やかな息をこの先もずっと維持していくための、新たな始まりです。
ご自身の力で口臭をコントロールする「セルフケア」の確立
口臭のない、健康な状態を維持していく上で、主役となるのは患者様ご自身です。
日々のセルフケアの質を高めることが、何よりも重要になります。
正しい歯磨きの習慣化
担当の歯科衛生士が、患者様お一人おひとりのお口の状態に合わせた、適切なブラッシング方法を習得できるまで何度でもご指導いたします。
歯と歯の間の汚れを除去するための、デンタルフロスや歯間ブラシの活用も口臭予防には不可欠です。
舌ケアの習慣化
指導させていただいた正しい方法で、毎日の歯磨きと合わせて舌のケアも習慣にしていきましょう。
食生活の改善
バランスの取れた食事を、よく噛んで食べることは唾液の分泌を促し、お口の自浄作用を高めます。
プロの力で健康を維持する「プロフェッショナルケア」
ご家庭でのセルフケアに加えて、定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることで、口臭の再発をより確実に防ぐことができます。
3~6ヶ月に一度の定期的なメインテナンスでは、エアフロー装置などを用いて、セルフケアだけでは除去しきれないバイオフィルムを徹底的に破壊・除去し、お口の中をリセットします。
この定期的なプロの介入が、爽やかな息を、そしてお口全体の健康を長く維持していくための鍵となるのです。